みぃちゃんのクリスマス

「クリスマスってサンタさんがきて、プレゼントをくれる日だよ」
幼稚園でお友達がそう言ったので、みぃちゃんはクリスマスを楽しみにしていたのです。
けれど、お母さんが
「プレゼントはいい子にしかもらえないのよ。みぃちゃんはいい子でいられるかな?」
と言ったりしたものだから、みぃちゃんは毎日緊張の連続です。


 朝、起きた後にいつまでも布団から出ないでいると、サンタさん来てくれないかもしれない、と慌てて飛び出したり。
 幼稚園では先生に元気よく「せんせい、おはようございます」って挨拶。 おもちゃもお友達に譲ってあげて、年少組の子の面倒もみてあげます。  お弁当にだいきらいなピーマンがあったけれど、えいっと飲み込んでみたら、意外と食べられました。
 お昼寝の時間になかなか眠れなかった時は、どきどきしてしまいました。
 お庭で走り回って転んだけれど、泣かないで膝を洗ったし、お母さんの迎えが遅くたって、駄々こねたりもしませんでした。


 とってもとってもいい子でいられたと思ったみぃちゃんは、お迎えにきたお母さんに、聞いてみました。
「お母さん。みぃちゃん、いい子だったよ。サンタさん、来てくれるかな?」
「そうね。クリスマスにそれがわかるわね」


 それでみぃちゃんは、明日もきっといい子でいよう!と決心。
ご飯を食べる前にはきちんと「いただきます」して、食べ終わったら「ごちそうさま」。 お茶碗とお箸をお母さんの所まで持っていって。
 お風呂ではシャンプーが目に入らないようにしっかり目をつぶって、パジャマも自分で着替えて。
 それから、お父さんが帰ってくるまで起きてたいのを我慢して、お布団にもぐりこんだのです。
 一日がんばったみぃちゃんは、あっという間に眠ってしまいました。


 ところで、みぃちゃんはクリスマスがいつなのか、実はよく知らないのです。
 遅くに帰ってきたお父さんが、こっそり枕もとにおいたプレゼント。
 翌朝発見したら、なんて思うのでしょうね。


 みぃちゃん、明日からもいい子でいてくれるかな?




転載:2006.5.25
初出:2003.12.某日 「EVER GREEN」


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