お城から行列が出てきました。 馬に乗ったり歩いたりしている兵隊さんに、偉い大臣達。馬車には王様と、花を持ったお姫様。何しろ王様とお姫様のお出かけですから、華々しく盛大なのです。 その様子を見て、国の人たちは興味津々。列の後をぞろぞろとついていったので、列はどんどん大きくなっていきました。そうして、国中の人をひきつれて行列は森へ着きました。 森の入口に木こりの家はあったのですが、木こりは留守のようでした。森の奥から こーん こーん と斧の音が響いています。 馬車は森の奥へなんて入って行けませんから、兵隊さんがひとり、斧の音の方へ向かう事になりました。 木こりはいつも通りに仕事へ出ていました。なにしろ昨日中途半端になってしまったので、今日は一日分取り返さないといけません。それで一生懸命斧を振るっていたのですが、突然、ぴかぴかの剣をぶら下げた兵隊さんが現れたので、びっくりして斧を落としてしまいました。 しばらくして兵隊さんが木こりを連れて戻ってきました。木こりは呆然として王様の前に跪きました。 王様が言いました。 「この花は、お前が持ってきた物か?」 王様は姫の持つ花を指して言いました。 木こりは花を見て、震えながら頷きました。 「は、はい」 せっかく憧れのお姫様が目の前にいるというのに、とてもお姫様を見ている余裕なんてありません。 「とても美しい。どこに咲いていたおった?」 木こりは正直にあった事を話しました。それはお姫様が夢の中で花の精に聞いた内容と一緒でした。王様は木こりが話している間、じっと木こりを見ていましたが、話終わるとこう尋ねました。 「それではこの花は、お前の私への贈り物なのだな?」 「は、はい。恐れ多い事ながら…」 王様はお姫様を降り返って言いました。 「私はこの男がもってきた花が、今までで一番美しい贈り物であったと思う。姫はどう思うか?」 お姫様も王様と話している木こりをじっと見ていました。木こりが花の精の話していた通り、とても優しそうだと思ったのです。そしてこう答えました。 「はい、王様。私も木こりさんが下さったこの花が一番美しいと思います。これ以上美しいものはないと思いますわ」 行列に付いて来ていた国中の人は、この言葉を聞いて歓声をあげました。国中の人の前で宣言したのですから、これはもう間違いありません。お金持ちの男はこそこそ帰っていきました。
こうして木こりは美しいお姫様をお嫁さんにもらい、幸せに暮らしたのです。 世界一美しいものが好きな王様は、今では世界で二番目に美しいものが好きな王様、と呼ばれています。 だって、世界で一番美しい姫と、その次に美しい花は、娘婿のものなんですからね。 あ、花の精が文句言うかもしれないから、反対でもいいですけれど!